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学校法人北海道シュタイナー学園 いずみの学校 隔週発行の教職員だよりです!


by bridge-since2008

高等部活動さまざま

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 いずみの学校高等部も、大分気の早い話ではありますが、来年度には7回目の卒業生を送り出すことになります。1回目の卒業生から数えれば、そのとき生まれた子供が小学校に入学する年齢になるほどの時間がたちました。そもそもシュタイナー学校の高等部ではどんな授業をしたらよいのかという根本的な疑問が広くあった頃に比べ、本当によく成長してきていると感じます。最初の卒業生はもう24歳くらいになるのです。学校の伝統も出来てきます。

 近年、大きく成長したのは生徒会活動でしょう。体育祭は恒例になってきましたし、いずみ祭への関わりも、当然になっています。また、部活動という、生徒が楽しめる課外活動も盛んになってきています。横のつながりが大切である青年期によりふさわしい活動をすることができる高等部に成長してきています。人数の少なさという問題は相変わらずありますが、それでもどうにか遣り繰りして、新しいステップへと毎年進んでいます。高等部としては、専科を担うスタッフの少なさがあり、これも毎年の課題ではありますけれども、こうして継続してこられたのは、支えて下さる皆様のおかげです。ありがとうございます。

 9年生以上が関わっている大きな企画として、「いちごプロジェクト」があります。今収穫真っ盛りです。これには「いちご委員会」というものを設置して、水やり・ハウス換気・その他を任せています。ありがたいことに、今年度もイチゴはたくさん実ってくれました。まだ2回目に過ぎず、昨年とも環境が異なり、経験は浅いのですが、これも積み重ねていくことで、植え付けから販売までの流れを、時間をかけて身をもって知る機会にますますなっていくことを期待しています。

 シュタイナー学校の生徒は違うといろいろな意味でよく言われるのを聞き、説明することは難しいとも耳にしてきました。そして実際に自分で見ても、確かに違うが、どう違うのか説明することは大変難しいということを感じ続けています。それでも、この生徒たちはよい未来を作っていくに違いないと感ぜざるを得ません。そういう青年たちと出会える幸運を思いながら、授業に向かっています。                    (市川貴弘)
 
# by bridge-since2008 | 2012-06-26 11:45 | 教師より

6年生の春

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 新学期直前のクラス保護者会で、私は今春6年生になった子どもたちの親御さんに、以下のようなことを話していました。

 「12歳は大きな変化の時期。反抗が始まり、批判的に教師を見る子どもが増えるでしょう。私は子どもたちとの新たな関係作りに励まねばなりません。頑張ります。」と。

 さてさて、やってきた子どもたちは、予想した通り、5年生の時と比べると随分距離を感じさせる目で私を見ています。これこそ6年生だ…と心の中でつぶやきながら、そんな彼らをまずは間違っても「5年生」とは呼ぶまい、と自分に誓いました。学年が変わったばかりの春には、つい習慣に従って、子どもたちを前年度の学年で呼んでしまうという現象があちらこちらで見られます。それだけに、今こそ教師は充分に目覚めているべし、と私は自分を戒めました。何せ、彼らとの新しい関係作りを始めるのですから。

 実際、距離を感じる視線以外にも、すでにいろいろな部分に6年生らしさが表れてきています。骨の成長が著しく、手足が目立って伸びてきた子ども。ゲームの際に、皆でボールを追いかけて走る姿は、どこかバタバタとしてバランスが悪く、明らかに全体に重さが増していることが感じられます。私が何かを忘れたり、言い間違えたりすれば、すかさず突っ込みが入り、大きな抑揚をつけて「先・生…」と叫ぶ子どもがいます。食い入るような視線でこちらを見つめ、吟味するかのように話に耳を傾けている姿もあります。
 「めんどくさい」「いやだ」の言葉が聞かれ、初めて朝から机につっぷす子どもが現われました。そのどれもが6年生なのです。

 今年度、クラスは3人の転入生を迎えて12人になりました。ここしばらく一人だった女子が二人になり、男子たちは何やらざわざわしています。相変わらず口達者な子どもたちは、益々見えてきた世界の中からそれぞれが自分勝手に取り出したことを、とめどなく話し続け、教室はエネルギーのるつぼと化して、今にも発火しそうな勢いです。皆、新しい出会いの中で、他人を探り、自分を探って、新たな関係を結ぼうともがいています。
重力を感じ、地上的、物質的な物事にさらなる興味を覚えつつ、自分の力をどう表現し、使ったらよいのか、試行錯誤しているのです。

 そんな6年生たちの春の様子は、当初私が想像していた以上に、早くから、強烈な形で表れてきたものでした。とは言っても、教師に対する反抗については、まだまだ序の口。今後の展開を楽しみにしつつ、新たな関係作りに精を出そうと決意する今日このごろです。                              河村真理子
# by bridge-since2008 | 2012-06-05 17:31 | 教師より
<4年生メートル法…万物の尺度を求めて>_e0158491_7344425.jpg

 子ども達はいよいよ年齢が二桁となります。一体だった世界と自分との間にしっかり距離をとるようになりました。3年生の半ばから毎日、発見したことを書く宿題を出していますが、その文章の中に「どうしてなんだろう?」「ふしぎだな」という言葉が多く書かれるようになりました。そして、これまではぼんやりと受け止めていたお母さんの言葉を「なんで、そんなこと言うの!」と反発したり、怒られたことに対して「どうして、怒っているんだろう?」と客観的に見ている様子が書かれるようにもなりました。
 より、客観的な目で世界を見つめ始めた子ども達と最初に学んだのは「メートル法」です。
 フランス革命によって貴族たちが安住していた階級制度はくつがえされ、それまで吟味されたことのなかった行動や服従の規範が厳しい理性の光のもとに引き出されることになりました。そういった中で、度量衡という標準を永続性のある基礎の上に作ることをフランスの議会は決めました。そして、測量単位を選ぶとき「恣意的なものを一切含まず、地球上に存在するいかなる人々にも特別な利益をもたらすことがないように。」と学者たちは誓いました。
 これらのことを物語として子ども達に話した後、「それでは、長さの基本単位は何を基準にしたのでしょう。」と投げかけ、宿題にしました。これは、なかなか難しい宿題でした。(お願いです。学校から帰ったお子さんが何かをたずねてきたら、確かめてからお答えくださいね。子どもは答えだけを手にしてしまい、あれかな?これかな?と考えるプロセスを経験することができません。)
翌日、ワクワクしながらなんだろう?と考えてきた様子が多くの子ども達の表情にありました。投げかけを続けて、ヒントを出して、ようやく「地球ですか?」と小さなつぶやきが聞こえました。「そうです。」の私の返事に「えーっ!!」と目を円くする子ども達。答えがあまりに大きすぎて、ため息が出ています。
「世界中の人たちに関係するもの…地球」 うん、うん、納得。みんな満足そうでした。
(石尾 紀子)
# by bridge-since2008 | 2012-05-14 07:38 | 教師より