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学校法人北海道シュタイナー学園 いずみの学校 隔週発行の教職員だよりです!


by bridge-since2008
  自分の行くべき場所を探し求めている旅人がいました。いろいろな素晴らしい場所に、たどり着きましたが、その度に「ここではない」と感じ、旅を続けていました。ある日、迷宮のような暗い森に入り、進退窮まったときに天使が現れ旅人を導いてくれます。「あなたの行くべき場所にわたしがつれていってあげましょう。」と。進んだ先に光がありました。旅人が自分の来るべき場所はここだったのだと感じたとき流れ星が落ちてきます。旅人の手には、いつのまにか、ろうそくがありました。「この光と暖かさを他の人にも伝えよう。」と旅人は思い、ろうそくに火を灯すと歩き始めました。そして、次に来る人のために森の入り口にろうそくを置くと再び、旅人は歩み始めました。

初めてのアドベントガーデン _e0158491_2545684.jpg

 アドベントガーデンの前日にこのお話を1年生から4年生の各クラスで担任が子ども達に話しました。(上記のものはおおまかなものです。)低い学年の子ども達に、より深く沁みこむことをねらって当日ではなく、前日に話すことを選びました。
 アドベントガーデンの当日、1年生の子ども達は緊張した面持ちで廊下に並んでいました。「幼稚園でしたことがあるから大丈夫だよ先生。」と前日に言っていた子どもも、いつもとはずい分違って神妙な様子。緊張が高まりすぎて妙にはしゃぎすぎている子もいます。
 挨拶の握手の後、歌を歌って時を待ちました。そして、挨拶してから私語が一切ない状態で入場。厳かな会場の様子に緊張が高まります。そこで、天使が登場。前日のお話の中の天使と同じように、自分たちがどうすればいいのかを身をもって示してくれています。その天使の動き、所作が素晴らしく、部屋の中は天使が作り出してくれた聖なるムードで満ち満ちていました。
 最初に、りんごろうそくに火を灯したのは1年生。5人全員が導いてくれた天使の動き、そのままに行って帰ってきました。歩き始める前は、とても緊張していたでしょうが、りんごろうそくを受け取りスタートした時から、内に内にと入り込み、一歩一歩進むその姿、表情は、とても素晴らしく厳かで心震えるものがありました。

 7歳の誕生日を迎える学年である1年生。神と人間をつなぐという「生まれてくる庭(アドベントガーデン)」を再度体験することは受肉の手助けとなります。目には見えない大いなる力を感じた夜でした。
 学校という場所で学び始めて8ヶ月を迎えます。もう、そんなにたったの?と、先日私も子ども達も感じ、それぞれが驚きの言葉を出し不思議な気持ちになりました。もちろん、子ども達は時間や月日のとらえ方が十分ではありま
せんが。「楽しいことは早いんだよ。」というある子の言葉に皆の気持ちが一致しました。これから、いろいろな事があるのだろうなあ・・・と私自身は遠い目になりつつも、そのことを楽しんでいきたいなあと改めて思っています。
第一部で天使の役をしてくれたのは9年生です。去年まで私が受け持っていた生徒が現在受け持っているクラスの子どもを天使として導いてくれました。そして、会場に入るタイミングを知らせに来てくれた生徒も、退場後、りんごろうそくを教室に届けにきてくれたのも、9年生でした。後から後からじんわりと感慨深くこみ上げてくるものがあります。どうもありがとう。
                   
石尾 紀子(一年生担任)
# by bridge-since2008 | 2008-12-12 09:33
(9月3日~5日)

学校法人北海道シュタイナー学園、7年生は今年二回目のキャンプに出かけました。1日目は時折強い雨が降る中を8時間余り、黒松内まで背中に10キロ以上のリュックを背負って歩きました。3日当日の朝方は、まだそれほど雨が降っていませんでしたが、長万部駅に着くと本格的に降り始めたので、全員が雨具を身に着けました。まず、海岸に出てペットボトルに太平洋の水を汲みました。それを子ども達が踏破中持ち回りで手にし、太平洋の水を日本海に向けて運ぶという使命を果たすためです。今回の目標である踏破の始まりの儀式を厳かに執り行うとともに、ペットボトルを縦断の象徴にしました。
歩き始めは、どの子も元気いっぱいで、唄を歌ったりして声も良く出ていました。しかし、疲れとともに次第に寡黙になり、発せられる声は「足痛い~!」「もう歩けない!」「もう、疲れた!」「もうこんなことしたくない!」に変わってきました。途中数回休憩を挟みましたが、国道5号線をひたすら北上していきました。たまに乗用車やトラックが行き来しましたが、歩いているのは私達のグループだけで、孤立無援の進軍と言った感じがしないでもありませんでした。雨でリュックが重くなりましたが、全員が頑張り抜きました。黒松内のブナ自然公園の端にある東屋に午後4時半頃着き、そこで野宿をしました。充分な広さではありませんでしたが、お互いが小さくなってくっつき合うようにして眠りに就きました。
翌朝は、どの子も4時過ぎには目が覚め、5時から朝食作りが始まりました。ご飯と味噌汁だけでしたが、何か心が温まるような充実感とおいしさでした。その後全員でおにぎり作りをしました。初めておにぎりを作るという子もいましたが、見よう見まねで一人一人が個性あるおにぎり作りをしていました。前日とは打って変わって、二日目は晴天でした。雲一つない快晴で、このまま寿都に行けば最後の夏を満喫できるかもしれない、海で泳げるぞ!と気持ちが高ぶっていくようでした。5号線の道はあまり起伏がなく平坦でしたが、両側の山並みは緑がどこまでも豊かで濃く、優しく、和らぎを与えてくれました。ただどうしても背中の重みのためでしょうか、あるいは疲れているためでしょうか、これだけ恵みをいただいているのに、視線が下に向きがちになってしまい、自然の美しさを堪能しつつ歩けないのが残念でした。目的地も前方に海が開けてくるようだと、内側から力が湧いてくるのですが、何せ道が平坦なために、行けども行けども同じような景色からなかなか抜け出せない感じでした。「この山を越えれば、今度こそ海は見えるだろう」と思いましたが、その都度裏切られました。しかし、地図で自分たちのいる場所を確認することを通して、「ああ、もう少しだ。がんばろう!」とお互いの魂を励まし合い鼓舞し合いました。2日目も海岸で野宿をする予定でしたが、その前に買出しをしなくては ----- 、という場面のことです。「あそこで買出しをするよ。」と言う声が勝部先生から子ども達に伝わるや否や、これまでの疲れはいったいどこに吹き飛んじゃったの?と聞きたくなるようなことが起きました。なんと200メートルくらい先にあるお店に向かって、子ども達は一斉に走り出したのです。たった一人、気持ちは働いたけれど足は全く動かず、私一人取り残されてしまった感じでした。子ども達のパワーには驚かされます。しかもみんなケロッとした顔をしているではありませんか?内心子ども達にはもう体力で勝てないと思うとともに、一学期の羊蹄山登山で、心身ともに一皮向けた子ども達がいっそう逞しく、頼もしく思えました。寿都の海岸に着くと、運んできた太平洋の水を一人一人が少しずつ流しました。この儀式で、今回の大きな目標である長万部から寿都まで、片道約40キロ踏破達成を祝いました。その後は水着に着替え、一時間余り寿都湾を独り占めするごとく、(泳いでいたのは私たちだけでしたので)泳ぎに興じました。(翌週のOutdoorの時間には、豊浦の海に出て筏乗りをしました。7年生は、なんと一週間の間に日本海と太平洋で泳いだことになります。)アサリも取れ、それをお味噌汁にして食べました。その晩は二日分の疲労が一気に出たためでしょうか、8時半には床に就きました。
翌朝は全員が顔中蚊に刺された後が赤く残り、ニキビが出来たようでしたが、元気いっぱいに目覚め、帰路に着く準備をしました。帰りはバスを使ったのですが、車中から歩いた場所をいとおしく振り返りました。たっぷり2日間かけて歩いた道のりも、文明の利器を用いるとたったの40分で到着してしまうのには、あっけないというか、愕然ときましたが、子ども達の表情には充実感が満ち溢れているようでした。長万部では温泉に浸かって汗を流し、リフレッシュしました。冒険を恐れずに、目標達成に向かって、苦闘を通して一歩一歩着実な歩みをする。このことが充分に達成されたキャンプでした。
越川洋一(7年生担任)
# by bridge-since2008 | 2008-11-12 21:22