家づくりの授業
2013年 07月 12日
3・4年生たちは今、家作りをしています。4年生にとっては1年待ってもらった後の家作り。しかし、去年そのことに対して不満を言うこともなく、今年も3年生と一緒に黙々と取り組んでいます。
4月以降、青空で出かける林の中で子ども達は、何度も木や葉っぱを使って「家作り」をしていました。偶然なのか、今年は家作りをするということが無意識にあるのか…どちらにしても彼らの衝動を見て、家を作ることがベストなタイミングなのだろうと感じていました。
どのような家を作ろうか? 担任がまず最初に悩むことです。3・4年生クラスはアイヌのチセを建てることにしました。(集会で発表予定です。8年生の子ども達には秘密にしておいてください。)子ども達が育っている場所が北海道であること、3・4年生でメインレッスンが別の時期に、アイヌの昔話を4年生に話していたことがあり、ときどき出てくるアイヌ語や、主食であるサケなど、アイヌの人たちの暮らしに触れていたこと、クラスの子どもの一人の名前がアイヌ語であることなどを思い巡らせながら、日本で最古の住居である竪穴住居に近い、原始的な作りであるチセを作ることに決めました。
偶然か必然か、短期留学で来ていた男の子が、「お父さんがアイヌが大好きでアイヌの歌や踊りのことをよく知っている。」と話してきました。ほんの少しでも、彼の息子がチセ作りに参加できて良かったと思います。
実際の家作りを始める前の座学では、チセの家の中の構造について学びました。方角をベースに玄関や窓などを作る場所が決まっていたり、男女によって座る場所が違うことなどを知りました。その話の後で、チセを作ることを発表。「ヤッター!」と喜びの声があがり、私も一安心?
さて、ついに始まった家作りでは、子ども達主体で作業が続けられています。みんなで作りながら、実は一人一人が自分のために建てている家。まどろんだ無意識の世界から、だんだんと今足を着けている世界の様子が見えてきて、その世界に暮らすための家を、その世界にある材料を使って作ろうとしています。家作りのプロセスは、より一層地に足を着けるためのプロセス。この通過儀礼を、しっかり見届けたいと思います。
家作りでお世話になっているのは、宮大工である小林慶吾先生です。今年は鍛冶屋や左官など職人さんの仕事見学や体験も並行して行っていますが、大工職人である方の近くで体験できることはラッキーなことかもしれません。
完成は2学期初めの予定です。校庭にできるチセを楽しみにしていてください。(宇野)
by bridge-since2008
| 2013-07-12 09:55
| 教師より